依頼者からの借金体験記

任意整理が救った多重債務地獄

第5章

もう催促の電話がこなくてすむ!

事務所のある渋谷駅で降り事務所へ電話をすると、駅からの道を案内してくれました。事務所に着くとブースに案内され、しばらくすると40代後半くらいだったでしょうか、男性の担当者が現れました。椅子に座ると多重債務の状況を細かに質問し、私はその質問に淡々と答えていました。この時は、私の胸に中に、「これで今の状況から救われるのかもしれない」という期待感のほうが大きくなり、とても冷静な気持ちで対応することができたのです。

質問がひと通り終わると、担当者からは「ここに来たのは何が目的ですか?」と聞かれ、こう答えました。
「催促の電話が来なくなることと毎月の返済額を減らせることです」
この時点では、債務整理という言葉も詳しく知りませんでしたし、毎月の返済額を減らせるという自分の言葉の意味は、返済期間を長くしてもらっていいので、毎月の返済額が減れば、何とか返していけるだろうという、まだまだ甘い考えではあったのです。しかし、担当者は「どちらも大丈夫でしょう」と即答し、言葉を続けました。
「今日からは、私たちがあなたの代わりに貸金業者と交渉をしますので、今後一切、業者からあなたのところに電話がかかったりすることはありませんから安心してください」
そう言われると、“もう催促の電話がこないんだぁ・・・”という思いが胸いっぱいに広がり、自然と頬に涙が伝わっていました。

すでに3年近く高い金利を払い続けているから、“引き直し計算”というものをすれば、『過払い金』発生まではいかないかもしれないが、残高は減らせるだろうと言われました。
「毎月、いくらぐらいなら無理をせずに返せそうですか?」
その頃は月に8万円近くを返済に充てていました。
「3万円くらいなら何とか返せると思います」

債務整理で借金地獄から抜け出せる!

それから、債務整理の方法について話を聞きました。債務整理には、「任意整理」「自己破産」「民事再生」「特定調停」の4種類があり、今回、私のようなケースの場合は、自己破産するまでではないどうろうし、家族に内緒ということであれば、自己破産をするわけにはいかないので、任意整理が適しているということです。
担当者は、その場で引き直し計算をしてくれました。

A社からの借入額が100万円
B社からの借入額が80万円
C社、D社からは借入額が50万円
E社からは借入額が10万円

借入の合計額は300万円。いずれも金利は29%でした。明らかに法律に違反した金利をとっていると知り、しかも、その金利を私は業者の言うままに払っていたのです。いかに無知なことが恐ろしい結果を招くかを知りました。
計算してくれた表を見てみると、毎月、毎月、8万円近くを返済していても、3年間で返した元金はわずかに40万円ほどです。しかも、支払った金額は約300万円。つまり、借りた元金分を支払っていたのに、そのほとんどが利息として充当されていたのです。

しかし、任意整理をすれば、残金が80万円ほどになるということで、毎月3万円を返して行けば2年で完済するとのこと。ただし、任意整理をすることで、業者によっては個人信用情報に登録されることも多く、今使っているカード類が使えなくなることや、5年くらいは新しいカードを作れなくなる可能性もあると忠告されました。でも、自分のためにもそのほうがいいだろうと思い、債務整理の手続きをお願いしたのです。
担当者は最後にこう付け加えました。
「今日からは安心して大丈夫ですよ。でも、もう2度と借金なんかしちゃダメですからね」
手続きを終え外に出ると、私は安堵感から泣いていました。
「これで、借金地獄から抜け出せる」
その日から貸金業者の取り立てはピタリと止まりました。

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