依頼者からの借金体験記

30代女性の1000万借金ストーリー

新たな光が見えてきた日

運よく当たった商品もあった以前と違い、お店のコンセプトも固めずに、とにかく「売れるモノを」仕入れているとテイストがバラバラになって、今まで買ってくれていたお客様も離れてしまいます。

悪循環にはまるとどんどん悪い方に物事が運んでしまいます。

売り上げはどんどん落ち込んでいく中、その前の不良在庫に対しての支払いは容赦なくやってくるし、払わなければ次の商品が仕入れられない、でも、売り上げを作るためには仕入れなければ、というジレンマの中、つけがたまっているメーカーではなく、苦し紛れに新規の仕入れ先を探し始めました。

もちろん、「支払いの日が後になる」という理由だけで仕入れをしている商品など、売れるわけがありません。売れなければお店にいても毎日がイライラの連続ですし、そうしている間にも催促の電話はかかってきます。精神的にどんどん追い詰められていきました。

多少の営業時間延長や、休日返上でお店を開けても、売り上げにはさほど影響ありません。根本的な仕入れや方針が間違っているのですから。アルバイトの人もとっくに辞めてもらって、自分一人で毎日お店を開け、開店前に新しいメーカーや支払いの滞っているメーカーをまわる日々。疲れがたまり、肝心のお店にいてもボーっとしてしまう日が続きます。

体調も優れなくなってくると、気持ちもネガティブになり、悪いニュースばかり目に入ってきます。ほんの200万円くらいの借金で自殺してしまったサラリーマンの話とか、悪徳業者に借りたばかりに嫌がらせを受けたとか、いつ自分の身に降りかかってくるかと思うと夜中にうなされ、追いかけられる夢を毎晩見るようになりました。

自転車操業もそのうちできなくなったら、「街金」と呼ばれる、ヤクザがらみのところにまで借りなければならなくなるのか、と暗い未来しか思い浮かばず、人生最悪の時を過ごしていました。

そんなときに見つけたのが「債務整理」をした人のコミュニティのサイトです。

借金を作るようになったきっかけは人それぞれですが、皆返済に苦しみ、「自己破産」、「任意整理」、「個人再生」、「民事再生」「特定調停」などの方法を通して生活や人生を立て直した所は同じでした。

働けない人や収入が低い人同様、借金の返済で苦しんでいる人たちにも、社会的弱者として守ってくれる法律があることを始めて知り、借金の返済に悩み、苦しんでいた数年間で初めて目の前がパーっと開けてきた感じがしました。

その後は夢中になって検索を重ねました。調べたところ、どの手続きを取るにしても、自分一人では実行することは難しそうなので、取り急ぎ自分の場合はどういう方法を取ったらよいか、どこかの事務所に相談してみようと思い始めたのです。

そうはいっても法律事務所など、生まれてこの方まったく縁がなく、どうやって信頼できる事務所を選ぼうかと考えあぐねていたところ、実際に相談された方が書いてあるサイトがいくつか見つかり、その中で近くにある所に何件か電話をしてみることにしました。

何か悪いことでもしているようにドキドキしながら電話をしてみると、皆、思ったよりも明るく親切に対応してくれ、重く沈んでいた心が少しずつ晴れてきました。「毎日大変でしょう。早くご自分にあった手続きをされた方がいいですよ。」と言われたときは、思わず涙が出そうになったことを覚えています。

少し明るい気持ちになって、一番親切に相談に乗ってくれた事務所に行ってみることにしました。

住宅を保有している場合などは、「任意整理」などを選ぶことが多いようなのですが、銀行、国民金融公庫、カードローン、金融業者から合計で約1000万円弱を借りていた私の場合金額が大きく、「任意整理」や「特定調停」を選ぶと、月々返済する金額もどう圧縮しても、5〜6万円以上になってしまうとのこと。

今と比べれば確かに楽になりますが、お店を閉店した後の職も見つかるかどうかわからないのに、月々それだけの金額を払っていくのは厳しいのではないかと言われました。

実家に戻れば何とかなるかもしれませんが、その頃母親はもうすでに祖母を伴って引退して田舎に引っ越してしまっていたので、一人で家賃を払って生活していかなければなりません。田舎では仕事が見つかるかも定かではないので、実家に戻るという選択はないことを伝えました。

特に住宅を保有しており手放したくないなどの理由もないのであれば、しばらくの間ローンを組んだりすることはできないけれど、自己破産をして身軽になって一から出直してみてはどうですか、と勧められました。

確かに借金の悩みが軽くなってくると、今度は今後の自分の人生をどうするべきかという新たな悩みが浮かんできました。

本来なら一つの仕事に真剣に取り組んでキャリアを築き上げる20代後半から30代前半にかけて、会社勤めをしていなかったので就職するにしてもそう簡単にはいかないでしょう。

いろいろな条件を丁寧に説明してくれる担当の先生のお話をうかがっていると、やはり自己破産してしまうのがいいのではないかと思えてきたのです。

ローンを組んだり、クレジットカードを作ったりできないことなどは、これからあるだけの現金で生活していけるよう生活レベルを見直そうと考えていた私には逆に好都合でした。住宅購入する予定も当分ないし、それにたとえ金額が減ったとしても、もし自分がこれから得られる収入が思っているよりも少なければ、また支払いに困ってしまい、今までと変わらなくなってしまいます。

思い切って「自己破産」の道を選ぶことに決め、手続きをお願いしました。すると、すぐに取引先や銀行、各金融業者に連絡が行ったらしく、ピッタリと連絡が止んだのです。

何年かぶりに静かで支払いに悩むことのない日々を取り戻した私は、エネルギーを、お店を閉める準備と自分のこれからの新たな人生の準備をすることに費やすことができました。

あらためて、ここ数年間は借金返済に追われ、自分の本当にやりたい事を考えたり、どういう生活を送っていきたいかなどの未来をまったく考えたりしていなかったことに気が付きました。

今も当時の私と同様な方がいらっしゃるかと思います。私がぜひ伝えたいのは、大切な自分の人生の時間を、返済に追われて苦しんで過ごすくらいなら、早めに専門家に相談して仕切り直し、新たな道を歩んだ方がどれだけいいかと思うということ。

自分でなんとかしなければともがいていても同じ場所にとどまり、さらに苦しみを深くするために下に向かって掘り続けていることが多いのです。借金返済に解決策はあるのです。

専門家は多くのケースを見てきています。それぞれの事情に沿ったアドバイスをもらうことで、新たな道が見えてきて人生に光がさしてきます。

不安に思っていた自分の将来ですが、クリアになった頭で考えたことで、無事仕事も決まり、まったく普通の生活を送れていることを付け加えておきます。

ただ、「自己破産」しても銀行の融資のときに使用した信用保証協会と国民金融公庫だけは、「連帯保証人」(債務者が払えない場合代わって払う)である母親に自己所有のマンションがあったため、売ってでも払う義務があるという主張をしてきて、どう交渉しても減額にも応じていただけなかったため、今も少額ずつですが毎月返済しています。

いい方に考えれば、その返済があることでつらかった日々を忘れることなく、その後お金を大切に扱う習慣が身につけられたのではないかと思っています。

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