知らなきゃ損する債務整理関連ニュース

悪質探偵にご用心

男女問題の解決や詐欺被害の回復などを高額で請け負った探偵業者が十分な調査をせず、トラブルになるケースがここ数年、多発している。本年度、全国の消費者センターに寄せられた探偵絡みの相談は昨年度から八割超増え、過去十年で最多ペース。一部の悪質な業者によるとみられるが、被害の実例からは、さまざまな名目で客と金を集める実態が浮かぶ。
・無許可は違法なのに「債権回収」
「借用書のない債権でも回収できる」。滋賀県に住む四十代の会社員男性は、インターネットでこんなうたい文句の探偵業者を見つけ、電話した。「私たちはプロ」「相手の立ち回り先から責めれば回収できます」。業者の言葉を信じ、二回に分けて、約四十六万円を支払った。しかし、待てども待てども成果の報告はない。男性は警察に被害を届け出た。
(中略)
捜査関係者によると、客から調査の遅れに問い合わせがあると、男らは「債務者の携帯電話の調査にあと十万円」「相手の勤務先に女性調査員を潜入させる費用に三十万円」などと追加料金をだまし取っていた。

引用元:平成26年 12月22日 東京新聞

「タフでなければ生きてゆけない。優しくなくては生きてゆく資格がない」とは、ハードボイルド小説の祖、レイモンド・チャンドラーの言葉です名作「プレイバック」の中で、主人公の探偵、フィリップ・マーロウは、女性から「あなたのように強い人が、どうしてそんなに優しくなれるの」と尋ねられ、上記の言葉を返します。

さて、その一方で東京新聞にて報道された悪質探偵はいかがでしょう。債権回収を行うには弁護士・司法書士の資格、または国からの許可を得た債権回収会社のみが行えます。それにも関わらず、一部の探偵会社を始めとするさまざまな団体が、債権回収を行うなどと声高らかにうたっているのが現状です。

そもそもあまり表に出せないような特殊な債権、単なる口約束だけの債権などを回収するという手口は非常に危ういもの。口約束での債権を回収するということは、暴力をふるったり、脅迫をしたりというような違法行為でお金を取立てることとほとんど同義なのです。また新聞にもある通り、そもそも委任をしたところで本当に違法行為を用いて債権回収を行うとは到底思えません。暴力やら脅迫やらで債権回収を行うのであれば、それはもう何千万円・何億円という金額と引き換えに刑務所に入るようなものだからです。まともにかんがえてみれば、探偵業者に委任したところで、たかだか数十万円・数百万円といった債権の、それも一部が業者の取り分になるだけです。その程度の金額で業者が人生を棒に振るはずがありません。

上記は債権回収をうたった詐欺行為を、あまりにもおおっぴらに宣伝していたために逮捕されました。しかし、これはあくまでも氷山の一角。実際のところ、泣き寝入りしている人はもっともっとたくさんいるのが現実なのです。

繰り返しになりますが、借金の取立は弁護士か司法書士、そしてきちんと国の許可を得た債権回収業者のみが行えます。もしそれ以外の団体が取立を行おうとしてきたのであれば、これは詐欺です。そのような詐欺業者を見分けるコツとして、彼らは債権回収のほかに、ワンクリック詐欺やらノミ競馬、パチンコ情報詐欺など、非常に特殊なものの対策を行うと喧伝する傾向があります。

仮にそのような特異な詐欺に引っかかってしまったとしても、弁護士や司法書士のような正規の資格保持者に相談することが何よりも大切。そうでなければ、まず二次被害を生じさせてしまうでしょう。

最初に述べたレイモンド・チャンドラーの「プレイバック」では、大金をせしめようとする悪質なゆすり屋が登場します。それに引き換え主人公の探偵は散々苦労したのに報酬はもらえません。今回の悪質探偵を見ると、いったいどちらがゆすり屋なのか、疑問に感じてしまいますね。


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