2009年12月の知らなきゃ損する債務整理関連ニュース

2009/12/2209年の貸金業者の倒産 件数・負債とも過去5年で最悪

消費者や事業者向けの金融業者の倒産が、2009年は11月末までに23件となり、過去5年で最悪だった05年に並んだ。負債総額も8443億円にのぼり、11月時点で08年の7986億円を上回った。帝国データバンクの調査でわかった。

グレーゾーン金利の撤廃に伴う貸付金利の引き下げで収入が減ったことに加えて、過払い金の返還請求が高止まりしたことが収益を圧迫した。2010年6月には借入金額を年収の3分の1以内にする「総量規制」の導入など、改正貸金業法が完全施行されるため、「市場のさらなる縮小は避けられない」(帝国データバンク)とみている。

負債額でみると、09年は事業者金融の大手SFCGやロプロが倒産。両社の負債額は約8000億円と、全体の94.8%を占めた。倒産の多くが負債額で数億円の中小業者で、「体力のない業者が規制強化や景気低迷などで収入が減り、倒産するケースが増えている」(同)もよう。

一方、08年度の主要90社の営業収益合計は、前年比22.3%%減の1兆4412億円で、全体の約85%にあたる70社が減収になった。また、最終利益が把握できた72社のうち、41社が最終黒字、31社が最終赤字だった。

アイフルが私的整理の一種である事業再生ADR(裁判外紛争解決)手続きを進め、武富士も社債の条件変更に乗り出すなど、大手も生き残りに懸命だ。

金融庁の調査でも、貸金業者数が9月末時点で前年同月末に比べて35%減の4909社(自主廃業などを含む)、ピーク時の4万7000社超から5000社を割り込む水準に落ち込んでいる。

2009/12/18金融機関の「貸し渋り」事例を公表 金融庁

金融庁は、銀行などに行った金融検査によって発覚した貸し渋りの事例をまとめた「金融円滑化に係る金融検査指摘事例集」を、2009年12月17日に公表した。

事例集は、12月4日に施行された中小企業に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律(中小企業金融円滑化法)を踏まえ、金融機関の自律的な態勢強化を促す観点から、急ぎ作成した。

金融機関が、債務者からの継続融資の要請に対して債務者の実態把握を十分に行うことなく融資期間の短縮を求めたり、債務者からの短期つなぎ融資の要請に具体的な審査なしで謝絶したり、債務者からの融資継続の要請に債務者の業況回復の可能性を十分検討することなく債権回収を行った例などを示した。

金融庁は09年4月以降、大手銀行を対象に「金融円滑化のための集中検査」を、また地域金融機関向けには通常の金融検査を通じて実施。今回、この中から43の事例を抽出した。

2009/12/16資金繰りに窮する武富士 アイフル再建も波乱含み

消費者金融大手の武富士が資金繰りに窮し、融資を圧縮せざるを得ない状況に追い込まれている。2008年に発行した転換社債の前倒し返済が避けられず、社債権者に減免や返済先送りを要請する事態に追い込まれた。一方、「事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)」での経営再建を進めているアイフルは、債権者の足並みがそろわず、波乱含みの展開となってきた。

武富士は08年、株価が一定水準を下回った場合は前倒し返済に応じる約束の転換社債を発行。その後の株価低迷で前倒しは必至となり、2010年6月に最大700億円の返済を求められる状況となった。このため11月、社債権者に返済の減額や延期を募り、12月9日に結果が公表された。

資金繰りはなお綱渡り状態が続く

武富士によると、減額や延期に応じたのは約250億円分の社債権者。約116億円分を12月中に前倒しで返済するかわりに、約33億円分を減額、残りの約101億円分は、10年7月から毎月10億円ずつ分割返済する方向でまとまった。

しかし、資金繰りはなお綱渡り状態が続く。今回の債務減額・延期を実施しても、10年9月末までに武富士が返済しなければならない借金は1800億円規模に達する。一方で、営業キャッシュフローと手元の現金を合わせても2000億円程度。差し引き200億円程度しか1年間の融資に回せない計算だ。

既に格付け会社スタンダード・アンド・プアーズは、武富士の格付けをデフォルト一歩手前の「CC」に引き下げており、社債など新たな資金調達は難しい。かつては毎月700億円以上を融資してきた武富士だが、「最近の融資額は、その1割にも満たないのではないか」(アナリスト)との見方もある。このため武富士は、保有不動産の証券化などや、不良債権の売却による資金調達を検討している模様だ。今回の債務減額分33億円も、不良債権の売却による会計上の損失の穴埋めに充てられそうだ。

ゴールドマン・サックスが債権の買い取りを要求

一方、ADRによる再建を決めたアイフルだが、先行きは不透明感が増している。アイフルは金融機関に約2800億円の債務の返済猶予を求めているが、ここにきて米ゴールドマン・サックス(GS)がアイフルに対し、債権の買い取りを要求してきた。

アイフルとGSは、買い取り額を巡って水面下で交渉に入った模様だ。しかし、GSだけ特別扱いすれば、他の債権者の不満が強まるのは必至。全債権者が同意しないとADRによる再建手続きは成立しないため、GS以外にも希望する債権者と調整を進める可能性もある。

そうなればアイフルの負担は重くなり、再建に影を落とすことは避けられない。仮にADRが成立しても、10年6月には改正貸金業法が完全施行され、経営環境は一段と悪化することが予想されるため、金融機関の中には「最終的に法的整理に移らざるを得ないのでは」との声も漏れている。


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