債務整理コラム

返済が苦しいときに忘れがちなポイント

己を知るということほど難しいことはありません。自分の半生を振り返ってみましょう。人生はそれぞれ。色々な出来事があったとは思いますが、いかに環境は変われども、起こった問題の本質というものは同じはずです。

借金問題で考えてみましょう。たとえば子どもの頃、友人から借りたゲームやマンガを返さなかったり、人に何かを頼んだものの、自分は何もしなかったため、交友関係がこじれたりしたことはなかったでしょうか。

人間の気質はなかなか変わりません。学校時代も社会人になっても、十歳のときに起こした問題も、五十歳になって起きた問題も、起こした事柄の本質は実は同じなのです。たとえばサラ金会社から借入をしたものの、返済が苦しくなり、ついもう一社から借りてしまうという人がいます。あるサラ金から借りることで、別のサラ金に返済する。一度その行動が身についてしまうと、今度は二社・三社と借入件数は増えてゆきます。典型的な多重債務者のパターンです。

多重債務で返済ができなくなるまでの期間は案外短いものです。こうなると開き直って借金を踏み倒そうと考えるのが債務者の陥りがちな思考。しかしサラ金会社は毎日のように取り立てに訪れ、電話をかけてきます。挙句の果てには裁判だの、差し押さえだのと凄まじいばかりのプレッシャーをかけてきます。しかも多重債務者の場合、これが五社・六社とたたみかけてくるのですから、よほど神経が太い人でない限り、大体は耐え切れなくなってしまうことでしょう。

それでも逃げ道を模索する債務者であれば、今度は「せめてサラ金会社の件数を減らせれば」と借金の一本化を図ります。借金の一本化といえば、聞こえは良いのですが、信用がガタ落ちの状態でこれを行うのはなかなか容易ではありません。それでもなんとかうまく一本化ができる人も中にはいます。この一本化が低利である場合、一見すると問題ないように見えます。実際、一本化の直後はほっと一息、毎月の返済が楽になったという可能性も否定はできません。しかしながら苦しい生活の中で、莫大な借金の返済を続けてゆくのです。しかも利息は相変わらずじわじわと増えてきます。加えて返済がうまくゆくと、今度は別のサラ金会社から「よろしければ融資いたしますよ」と営業の電話がかかってくるのです。

実はここが大きな分岐点。このとき、この債務者が少し過去を振り返れば、自分が何をするか理解できるはずです。

人は同じことを繰り返す傾向があります。しかし自分が当事者であれば、その悪癖になかなか気づけないのもまた事実。「わかっちゃいるけど」の精神で、結局融資の電話に負けてしまい、また二社・三社と借入を繰り返し、ついには一本化を図る前よりもさらに大きな借金をこさえてしまう流れになるのです。これが一本化の最もありがちな失敗のパターンなのです。

ただし、本当のところをいえば、仮に借金の一本化を図ったところでじわじわ嵩んでゆく金利に耐えて完済できる人は非常に少ないのが現実です。それに加えてサラ金からの営業電話がしきりにかかってくれば、これを我慢できる人などほとんどいないでしょう。しかも、世の中はせちがらいもので、債務者が一度悪い状況になると、思わぬところでおかしな話が舞い込んできます。

『低金利で借金の一本化 お断りしません!』

多重債務で苦しんでいる際、こんなコピーが踊るチラシがふと目に飛び込んできたらどうなるでしょう。思わず飛びついてしまいたくなるはずです。しかし冷静な目で見ればわかる通り、こんなうまい話は世の中には転がっていないのです。当然、この債務者はヤミ金のえじきになり、早晩にっちもさっちもいかない状況になってしまいます。早めにヤミ金解決を行わないことには良くて家族が離散、会社は解雇。悪ければ麻薬漬けにされて一生日雇い現場に閉じ込められるような人生になりかねません。

多重債務で返済が苦しい人にとって、借金の一本化という響きはとても魅力的なものに聞こえるはずです。しかし、苦しい状況になった際には安易に次のアクションに移らず、まずはじっくりと過去を振り返ってみるのはいかがでしょうか。小さな頃、友人たちから幾つも色んなおもちゃを借りて返さなかったため、仲間はずれにされたことなどはなかったでしょうか。学生時代、ちょっとした借金をしたばかりに後々嫌な目に遭ったことはなかったでしょうか。お金に苦しんだことはなかったでしょうか。

もし、そこではたと膝を打って「ああ、自分のこういう心構えが問題を引き起こしていたんだ」と気づくことができたのであればしめたもの。それを改善するため、別の解決策へと着手してゆくことができるでしょう。そう。債務整理です。逆にその問題に気づくことができなければ、仮にうまく借金の一本化ができたとしても、また次から次へと借金を繰り返し、よりひどい状況に陥ってしまうことはわかりきっているのです。

借金の返済の問題で忘れがちなポイント。それは自分自身を勘案に入れること。自分の気質を把握し、それを変えてゆくことができるのであれば、気づいたときには債務整理などを通じて借金そのものがいつの間にか目の前から消え去っているはずなのです。

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