債務整理コラム

中小零細のサラ金には要注意

サラ金業者は、名目上はまじめに法律を守ることで個人相手に融資を行うことを国から許可されています。しかし個人間の細かな事柄に対していちいち警察官がチェックしているわけではありません。そのため、服装がチンピラ風だったり、言葉の合間あいまにドスをきかせた声で取り立てをしたりする者もいないわけではありません。

大手のサラ金であっても、いまだにその内側を知ると、世間の常識からかけ離れた実態が浮かんできます。たとえば取り立ての悪質さが露呈して倒産に追い込まれたサラ金として武富士が挙げられますが、これはあくまでも氷山の一角。サラ金会社の中にはいまだに厳しいノルマを課していたり、また労働基準法とはかけ離れた上意下達な命令系統が残っていたりするところも珍しくないのです。

首都圏や大都市であればサラ金業は金融業としては馴染み深いものです。しかしそれであっても年配の人からすれば「サラ金に勤めています」という自己紹介は、あまり良い印象を受けないようです。サラ金は非常にあこぎな商売として見られがちな面がまだまだ残っているのです。これが地方にいけばなおさらです。過疎化した地域などで「サラ金をやっています」などといおうものならば、ちんぴらやくざが来たとばかりに白い目で見られかねません。

このような理由があるため、大手銀行の傘下にあるサラ金会社などは、様々な名称の系列会社を設立しています。これはたとえば社員が法事に出たり、また結婚をしたりするとき、周囲に嫌な顔をされないための配慮の面もあるようなのです。

ただし、蒸し返すようですが、そのような「配慮」も含めてサラ金業界はまだまだひどい実態が残っている面はやはり否めません。上述したように大手ですら、法律の間隙を縫っては微妙に脅しや追い込み同然の取り立てを行っています。そうであれば、中小零細のサラ金などは、いわずもがなというものです。

もちろん、世の中にはごまんとあるサラ金業者ですから、まじめに法律を厳守しているサラ金業者もあることでしょう。しかし、それも含めてやはり「あこぎ」な面があるのがサラ金でもあります。

サラ金というものはそもそもが「お金に困っている人に高い金利で貸すこと」が仕事です。視点をひっくり返してみましょう。債務者からすれば「辛い返済をさせられる。難儀で苦痛を伴う相手」がサラ金だともいえます。そう考えると債務者の中には「返済したくない」ということで、借金を踏み倒す人も多数いることでしょう。すると債権者であるサラ金としては、給与の差し押さえを行います。

この辺りからサラ金は「あこぎ」な面が見え隠れしてきます。実際、中小零細なサラ金ですら取り立てに関してはみんな独自のノウハウを持っています。たとえば会社に取り立てにゆくのは法律違反だということは重々知りつつも、その上で会社側に上手にコンタクトを取り、債務者の給与を差し押さえる方法を持っているサラ金会社も多数存在します。

もちろんこの過程で債務者の勤める会社は、債務者がサラ金に借金をしている上に滞納を繰り返して、もはや返済できない状態であることを知るわけです。当然、債務者の評価は地に落ちかねません。

また、それでも債務を回収できないと踏んだ中小のサラ金業者の中には、非常に悪質な債権回収業者に、割引で債権を販売することも少なくありません。債権を譲渡された債権回収業者としては、かなり踏み込んだ追い込みを行わない限り、債務者が払わないことも当然承知しています。

この辺りになるとサラ金の実態は法律からはかけ離れ、犯罪に近いグレーとなります。必ずしも暴力団のような反社会的勢力が債権回収を行うわけではありませんが、もはやヤミ金よりはマシといったほどに悪質な取り立てが行われるのは想像するに難くありません。

このように、貸金業法改正後においてもサラ金会社はたくましく(?)生き残っているのです。それどころか、さらに海千山千のしたたかさを身につけるようになった印象すらあります。彼らは債務者の行うちょっとやそっとの開き直りではびくともしませんし、債務者とはケタ違いの法律的な知識も持ちあわせています。

貸金業法の改正でグレーゾーン金利がなくなったことにより、債務者にとっては借金をしやすい状況になったといえます。しかしあこぎな取り立てや法律違反の追い込みなどはなくなるどころか、単に「臭いものに蓋」をしただけであって、サラ金会社の実態はますます悪質になっているといえるでしょう。また今後において法の抜け穴を見つけ出すことによってサラ金業界は再び興隆してくる兆しも見え隠れしています。

法律を守っている正規のサラ金だからといって、軽々しく考えることは厳に慎むべきであるといえます。

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