債務整理コラム

状況の変化に対応しよう 1

1. 環境が変わると自分も変わる

もしあなたがアフリカの内戦地帯に生まれたとしたら、今あなたが生活している日本の生活環境までたどり着けるでしょうか。現在の記憶を保ったままでいれば、あるいは懸命に学問をして事業で成功し、日本国籍を取得することでできるかもしれませんね。しかし葉っぱを結んで家にし、弓矢を持ってシカを追いかけているような未開の部族に生まれ、他に何の情報もないとしたら、現在のあなたの生活にたどり着くことはとても厳しいものであるといえます。

人は環境によって変わります。進学校で周りのみんなが朝から晩まで一生懸命勉強していれば、彼らと親しむうちに自分も当然勉強に目を向けることになるでしょう。逆に根っこがまじめで素直でも、校庭をバイクで走り回り、飲酒や喫煙をするような学校に在籍をしていれば自然と性格も荒れてきます。

2. 借金は環境を悪化させやすい

借金は人の生活を悪化させる一因です。借金の返済が収入を大きく圧迫したり、また収入そのものが激減したりしている状況で返済を続けていると、債務者の意識は自然と返済にばかり向かってしまいます。返済に心が向かうということはつまり、取立屋などに「早く借金を返してください」と絶え間なくののしられ、お尻を叩かれることに気持ちが向くことと同義です。

ましてや、借金の返済できずに「どうしたら良いのだろう」と顔をしかめているにも関わらず、そのときにNHKが「受信料を払って下さい」と督促に来たり、子どもが「ディズニーランドに行きたい。ゲームが欲しい」とぐずりだしたりすれば、債務者としては思わず「うるさいなあ」と思ってしまうのもむべなるかなといったところでしょう。しかしそれを繰り返していれば当然家族関係、ひいては人間関係にも悪影響を与えます。加えて問題は人間関係のみに留まりません。たとえばどうにもならない借金から顔を背けつつ、他の生活はきちんとするということは普通の人はできません。結果、自宅は次第に荒れてゆきますし、周囲の人との中も荒んでゆきます。一発逆転を狙ってなけなしのお金でパチンコに行けば今度は電気やガス代にすら事欠く有り様ともなるでしょう。このように借金が増えると環境全般が悪化するのです。

元々の気質や性格がいかに良い人でも、借金の返済が苦しくなれば自然と生活は乱れやすくなり、また人間関係にも破綻をきたしやすくなります。そしてまたその生活が今までの生活よりも一段落悪い、あまり褒められたようでない人間や詐欺師など、おかしな人間を呼び寄せます。つまり、借金生活は人生への悪循環を作りやすいのです。

3. 借金を放置しても、しなくても?

多重債務者のように返済日が数日おきにやってきたり、また収入のほとんどを返済に占められたりしているような状況では、債務整理を除き、大抵の債務者が以下のパターンに陥ります。

A. 借金から顔を背けて知らぬ存ぜぬを決め込む

ない袖は振れないとばかりに居直り、借金を放置する債務者がいます。しかしその場合、よほど特殊な収入源がない限り、放置生活はすぐに破綻します。なぜならサラ金会社から告訴され、差し押さえなどをされてしまうと、生活に行き詰まるためです。しかも、それに伴って大家なども「貸借権? そんな法律知ったことか」とばかりに債務者を追い出しにかかります。当然、債務者は寒空の下、なけなしの数千円を抱え、あてもない放浪人生になるのです。

B. 借金を返すべく、さらに仕事を増やす

先述した「A」よりも遥かに立派だといえますが、実はこれもあまり良い結果にはつながりません。サラ金からの借金は複利で増えるため、債務額が多い分、金利は雪だるま式に増えてゆきます。このため、たとえばサラ金への減債などの交渉を行わず、債務総額はそのままに、昼間は会社に勤め、深夜はコンビニバイトなどに勤めたとしても実態としては焼け石に水。完済に至るまでには何十年もかかることは明白ですし、その間、心労などで倒れてしまえばもう目も当てられません。また、サラ金からの多重債務のみならず、ヤミ金から借入をしてしまえば今度はタコ部屋生活が待っています。この事態に陥ってしまうと生活以前に債務者の命そのものが危ういものとなってしまうのです。

このように多重債務状態になってしまうと債務者本人がいかにあがこうと、あまり芳しい結果を招くことはできません。上述の「A」であれば安い飲み屋やパチンコ屋・競馬場などに入り浸り、あまり質の良くない人々とやがては知り合うようになるでしょう。場合によっては数年後、川べりでブルーシートの家を建て、彼らと朝から酒盛りに興じているかもしれません。それで本人が満足ならば誰も止めはしませんが、世間的に見てけして幸せいっぱいといえる生活ではないはずです。

同様に「B」も周囲の人間関係や環境に引っ張られる可能性があります。コンビニバイトや夜間工事ならばともかく、たとえばタコ部屋などで一度親しい仲間ができてしまうと環境が閉ざされている分、そこから抜け出すことは非常に難しいといわざるを得ません。万一借金を返せたとしても、タコ部屋から放逐されてしまえば今度は誰も知り合いのいない生活でゼロからのスタートとなります。何をすれば良いのかわからない。しかも誰もアドバイスもしてくれない。借金はないけれど、生活していけるお金もない。それならば友人たちとブツクサ文句をいいながらも、今まで通りのタコ部屋で苦しい仕事をした方がまだずっと幸せだ。そのように心が定まってしまえ、余生は飯場とタコ部屋を行き来する日雇い労働者となることが確定します。

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