債務整理コラム

まずは身の回りを見回してみる

ご自分の靴を見て下さい。ボロボロのスニーカーを履いてはいないでしょうか。埃と泥にまみれた革靴ではないでしょうか。出社されている方は、毎日きちんと磨かれていますでしょうか?

警察学校や防衛大学校などでは、制服にきちんとアイロンがかかっているか、シーツにシワが寄っていないかなどを厳しく検査されます。その厳しさたるや、常人はおろか、一流のホテルマンがシーツを敷いても弾かれるほどです。

警察は国内の治安を、自衛隊は国外からの侵略を防ぐために存在します。彼らの訓練や行動と制服のアイロンやシーツ張りがきちんとできるかは、一見するとまるで関係がないように思えます。

この問題を一般の会社で見てみましょう。社内の掃除が行き届き、朝の日差しと磨かれた照明が社内を照らす会社と、薄暗い半地下で埃と泥に塗れた会社、どちらの業績が上だと思いますか?
これだけではわからないかもしれません。では、業務時間の開始と同時にすべての社員が一斉に行動に移る会社と、決められた時間があるにも関わらず、数分遅れてくる社員や、始業時刻にも関わらず、喫煙室にこもっている社員ばかりの会社、どちらの業績が上だと思いますか?

最後にもう一つ申し上げます。あなたが一億円を持っているとしましょう。きちんとした高級スーツに身を固め、磨かれた黒檀のデスクできっちりと話を聞いてくれる投資会社と、「N.Y」と印字されたTシャツを着て、安っぽいデスクの後ろで足を組んでいる、やる気のない態度の投資会社、どちらにお金を預けたいと思うでしょうか。

ここまで来ればお分かりのはず。多くの人は、きちんとした格好や服装をしている人間の方を信頼します。なぜ信頼するのか。それは目の届くところでだらしのない人間は、見えないところでますますだらしがないことを想起させるためです。

たとえば先の投資会社で言えば、Tシャツでいい加減な態度の社員が、お金を預かったところで細かな投資情報やち密な計算などをきちんと行えるとは思えないことでしょう。少なくともしっかりとネクタイを締めている人と、Tシャツの人のどちらが良いかと問われれば、何の前知識もない限り、普通は前者を選ぶはずです。

先の警察や自衛隊の几帳面さはこの本質を言い当てています。制服にきちんとアイロンが当たっているか、シーツにシワが寄っていないかなどは、一見すれば確かに実際の戦闘とは関わりありません。しかし、たとえば年中時間に遅れる兵士が、前線での激戦区をまっしぐらに駆け抜けて、指定時間にきちんと到着することができるでしょうか。複数人がバラバラに行動する戦闘ならなおさらです。ましてやだらしのない者が精密な射撃をしたり、巨大な兵器を扱ったりすることができるでしょうか。できるわけがないのです。

難しい事柄、大きな事柄を扱うには、まずは身の回りの当たり前のことをきちんとすることが不可欠なのです。これはあらゆる事象にあてはまる話です。自分の手の届く範囲をきちんとすれば、その延長としてさらに多くのことができます。逆に言えば、自分のことをきちんとできない人間が、周囲の人に対して何かすることなどできるはずがないのです。口ばかりで何一つ努力をしない人は少なくありませんが、彼らが信頼を欠いているのは自分のことすらきちんとできないためです。

さて、最初の話に戻りましょう。今借金の返済で苦しんでいる方は、まずはご自分の服装をご覧になってみてください。いかがでしょうか。靴を見て下さい。いかがでしょうか。部屋の中を見回して下さい。いかがでしょうか。何も最新流行でしゃれたセンスを活かす必要はありません。清潔で掃除が行き届き、きっちりと整理整頓できていますか。

以前のコラムで、借金をしている人は部屋が散らかっていると言う趣旨を述べました。またお金持ちの地域になるほど治安も景観も整然としており、あまり裕福でなくなるほどに雑然としがちになる上、治安も悪化してゆくと言う話も述べました。社会的にきちんとしている人ほど清潔で細かなところまで気配りができます。逆にあまり褒められた人でなくなるほど、不潔で大雑把な傾向があることは否めません。

これはひっくり返せばこうとも言えます。たとえ返済日が迫っており、返済できるお金がないとしても、身の回りのことをきちんとすることはできるのです。逆に言えば、身の回りのことをきちんとすれば、お金がないこともきちんとしたくなるはずです。

整理整頓をすることと、借金の整理をすることとはかけ離れているようなことに聞こえるかもしれません。しかし、借金が嵩んできたのであれば、まずは手元をきちんとしてみましょう。一回二回、それで小さな問題が生じたとしてもあきらめないことです。それにより、次第に借金問題に関しても自分の考えが変わってくることを実感できるはずです。

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