債務整理コラム

不当に安い債務整理は……

世の中には値段があってないようなものがあります。例えば株式・骨董品・ブランド時計や高級自動車などが挙げられます。タワーマンションやデザイナーズマンションなど、1ヶ月の家賃が二百〜三百万円もする高級マンションなどもその類と言えるでしょう。これらのようなものは一体どんな人が買うのか興味津々ではありますが、同時に実はこのような分野は、その世界を知らない人があぶく銭を抱えて手を出すと大やけどを負う世界でもあるのです。

例えどんなものでもやはり目安となる価格と言うものは存在します。激しい乱高下を繰り返す株式でも、計算上の理論価格と言うものが存在します。パブロ・ピカソの絵画でも、サザビーズのオークションで競り落とされた来歴などを元にやはりある程度の目安となる金額ははじき出されます。骨董品だって同様ですし、不動産にだって路線価や簿価と呼ばれるものが存在します。この相場観が感覚的に理解できていない場合、例えばテレビ番組の「なんでも鑑定団」であるように、二束三文のガラクタを高値で掴まされてしまうと言った事態になりかねません。

しかしながら、相場観がまったくわからずに「買うのなら、とにかく安く。貰える物ならば、なんでもとりあえず貰っておく」と言う人もいます。先の高値掴みをしてしまう人は、少なくともあぶく銭を掴んだ後のことですので、どちらかと言えばこちらの意識の人の方が世の中にはずっと多いことでしょう。しかしこれも褒められたものではありません。適正な価格を不当に安く買い叩いたり、無料だからとがっついたりする者は、昔の言葉で言うところの「乞食根性」であると揶揄されます。少し前に生活保護の不正受給をしていた芸能人が述べていたような「くれると言うのなら、生活保護でもなんでも貰っておけばいい」と言った意識などはまさしくそれに該当する例と言えるでしょう。

さて、なぜこのような話をしたのか。それは債務整理を行う際、費用と同時に意識して欲しい事柄があるためです。それは債務整理にも適正な価格帯が存在すると言うこと。

例えば複数の債務整理事務所をきちんと比較しなかったばかりに、極端に費用の高い事務所に依頼してしまったとします。そのような場合、お金を払った後に「しまった! ぼったくられた」と頭に来てしまうはず。これは誰でも同じ思いになるはずです。逆に安ければ「シメシメ」と思うかもしれません。しかし、高すぎるのは自業自得でも「シメシメ」の場合はご用心。他の債務整理事務所も幾つか見てまわって費用を見比べてみるべきです。他の複数業者と比べて、極端にその業者だけ安くはないでしょうか。

債務整理やヤミ金対策を行なっている弁護士・司法書士の中には、異様なほどの安価で依頼を引き受けている業者があります。しかし常軌を逸したような安い債務整理はとても危険です。これはきちんとした借金問題の解決ができないばかりか、場合によっては犯罪に関わる可能性が生じてくるためです。

借金のケースは人によって異なり、また債務者から委任を受けた後、交渉を行う相手である債権者もそれぞれ異なります。借金問題において同じケースは一つとして存在しないのですから費用もバラバラになると言われればそれはそうかもしれません。しかしながら弁護士・司法書士事務所に所属する者も人間である以上、固定費と言われる最低限度の費用が必ずかかります。これを無視して問題解決ができる場合、それには何がしかの「裏」がある可能性が高くなるでしょう。例えば極端な話「借金取りと債務整理業者が裏でつながっており、マッチポンプでお互いにお金を融通し合っている」などと言うケースもあり得るかもしれません。これがひどくなれば「債務整理をした後、債務者の情報を借金取りに売る」とか「債務者から債務整理の相談を受けたものの、債務整理は引き受けず、個人情報だけを借金取りに売却する」などと言う可能性だって否定できないのです。

このような行為はもちろん違法です。弁護士・司法書士がこれらの行為を行うと厳しい処罰を受けます。しかし、ありえないような安価で債務整理やヤミ金対策をしている業者が実際に存在している以上、実際にこのような行為をしている債務整理事務所がないとは言い切れません。

債務整理とは借金をなくすための手段のことです。ですので、なるべく安くしたい気持ちはよくわかります。しかし不当に安い行動を臨むと、結果的に正規の債務整理事務所に依頼するよりも遥かに高くなることが少なくありません。

例えば、お金を払いたくないとばかりに特定調停を行う人もいますが、いざ調停に臨んだところで、サラ金事務所が弁護士を立ててきたため、ほとんど減額できなかったなどと言うことはよくある話です。またヤミ金対策ならば、本来であれば過去の判例を参考に、ヤミ金に対しては元金も含めて一銭の返済も不要となります。ところが不当に安いヤミ金対策の場合、依頼料の他、元金分に少額の利子を付け加えてヤミ金に返済するように促すなど、妥協を繰り返して債務者に余計な負担を加えたり、どこかヤミ金とのつながりを感じさせるような不審な動きを取っていたりなど、リスクやデメリットを感じさせずにはいられません。またこれらに関係すると結局、最初からしっかりとした債務整理事務所に依頼したほうがずっと安心で安価に済んだと言うケースが珍しくないのです。

当所は債務整理を専門にしている司法書士事務所の中でも、国内で一、二位を争うほどの老舗です。二十年に及んで当所が行なってきた債務整理の歴史を振り返れば、高すぎる費用では長く続かず、不当に安すぎる債務整理では、お客様に納得していただける質の良い債務整理ができないことを誰よりもよくわかっています。ですので、債務整理を行いたいと思った際には費用や減債・過払い金なども含め、どうすれば最も負担が軽減できるかを総合的に勘案し、納得が行った上で債務整理を行なっていただければと存じます。

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