債務整理コラム

借金問題から抜け出るための唯一の思考

昨今の景気がとても悪いのは誰しもが感じているところです。景気と言うのはつまり、社会と言う身体を循環している血液が滞ることを指しています。貧血程度ならまだしも、これがひどくなれば心不全を引き起こして最悪の場合、国家と言う一つの人格が破綻してしまうことを示します。

これは企業でも同じです。身体を流れるお金と言う血液が滞れば、企業は破綻してしまいます。このような心不全に瀕すると、経営者の中にはこのようなことを言う人がいます。 『社会が悪い。政府が悪い。市場が悪い。業種が悪い。従業員が悪い』

それはその通りなのかもしれません。しかしそれは裏を返せば「こんなに会社の業績が悪くなったのは自分のせいじゃない。自分は悪くない」と言っているのに等しいものです。 世間はこの経営者の友人でも家族でもありません。だから世間の人々は倒産の危機に瀕して一人喚く経営者を醒めた目で眺め、そうして「経営者失格だ」と厳しい言葉で断じます。

さて、なぜ彼は世間からそう言われるのでしょう。それは彼がそもそもの前提を履き違えているためです。厳しい言い方ではありますが、まったくの第三者からすれば、彼の責任の所在など知ったことではありません。誰が悪いか悪くないかなどにも興味はないのです。儲かっているかどうか? それは結果の問題です。

では社会は何で彼を判断するのか。それは彼が今目の前で起こっているこの危機的状況を切り抜けようと頑張っているかいないかです。

崖から落ちてしまった人が二人いるとしましょう。一人は崖下であぐらをかき、顔を真っ赤にしながら崖に向かって罵詈雑言を叩きつけています。もう一人は歯を食いしばり、手指から血を流しながらも必死になって険しい崖を登ろうとしています。さて、どちらか一人しか助けられないとしたら、どちらを助けるでしょうか。傍観者に助ける力がないのであれば、どちらを評価するでしょうか。

つまりはそういうことなのです。

借金の話題に移りましょう。同じことは個人でも言えます。借金を負ったのであれば、その人は「サラ金が/旦那が/嫁が/子どもが/会社が悪い」と不満を覚えます。これは誰でもそうです。ましてや連帯保証人として他人の借金をそのまま肩代わりさせられる事態に陥ったのであれば、その怒りは耐え難いものでしょう。その思いは誰しもが理解できます。友人であれば「辛いね、大変だね」と慰めてくれるかもしれません。

しかし、それは債務者が今留まるべき場所ではありません。例え誰が慰めてくれようが、優しい言葉を与えてくれようが、嘆いても怒っても、その間にも利息は一方的に増えてゆくばかりなのです。

だからこそ、誰が悪いか悪くないかに意識を注ぐべきではありません。「借金を負った。ならばどうする」と自問自答を繰り返し、借金地獄から抜け出る道を幾つも探し当てることこそが正解なのです。そうして借金問題が解決し、ふと一息ついてからそれでもなお、怒りがこみ上げてくるのなら、それからゆっくりと誰が悪いかを模索すれば良いのです。

考える際の入り口を「誰が悪いか」に置いてはいけません。「ならばどうするか」に意識を注ぐことが問題を切り抜ける唯一の手段なのです。

ただし、この思考はあくまでも自問自答にのみ使うものです。例えば消費者金融は「ならばどうするか」について感覚的に理解している面があります。借金の返済ができなくなった場合、サラ金は働いて返して下さいと直球で述べてくることは少ないはず。「あなたは今お金がない。借金の返済ができない。ならば、どうするか」と問いかけてくるのです。

もし債務者が「分からない」と答えるのならば、「分からないはずがないでしょう。お金を得るにはどうすればいいんですか」と分かるまで問い詰めます。答えられずに沈黙してしまったのであれば、何時間でも彼らは黙って待ちます。そうして債務者がしびれを切らして「○月×日までにアルバイトをして返します」などと言えば、そこで初めてサラ金は頷くのです。

なぜなら、自分で考え、自発的に述べた言葉と言うものは恐ろしいほどの拘束力を当人に与えるためです。後で「あれはその場を取り繕うためのうそだった」とはなりません。人間は自分で思いついた事柄と言うものには価値を持ちます。そのため、自分で考えて出した結論に対しては盲目的に従ってしまう傾向が強いのです。だからこそサラ金業者は「自分で考える」ことを債務者に強制してくるのです。このワナにはまってしまうと債務者はサラ金の意のままに操られます。

人間は誰もが自分だけは特別な存在だと思いたがります。だから何か問題が起これば本能的に人のせいにしたがって、問題の解決を避けたがる面があるのです。だからこそ借金問題に直面した際には誰が悪いかはひとまず置いておいて、「ならばどうする」を自発的に考えるように試みましょう。

働いて返せるようならば、それも良し。債務整理を行なって借金をなくすのであれば、それもまた良し。分からない場合には納得がゆくまで専門家に無料で相談してみるのも一つの手です。また、もしこれをサラ金に強制された際には、すぐに「これはワナだ」と気づくような思考も併せて持つように心がけたいものです。

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