債務整理コラム

次々生まれるグレーゾーン

借金問題でお悩みの方の多くは「グレーゾーン」について聞いたことがあるでしょう。本来、グレーゾーンとは「物事に対して白黒の判断をつけにくいこと」を意味するものです。債務者の場合、グレーゾーン金利と言った言葉はよく目にするはず。

これは利息制限法の金利である年20%を超過して貸付を行なっても、出資法の金利である29.2%の年利以下ならば罰則が適用されない点を消費者金融が巧みに利用したものです。貸金業法改正によってこれが改められたため、グレーゾーン金利は撤廃されることとなりました。

しかし本来の語源に立ち返ってみれば世の中にはグレーゾーンなものが溢れています。法律で言えば、仕事をせずにふらふらとしている人は軽犯罪法違反です。しかし仕事をせずにふらふらとしている人などは社会にはごまんといます。他にも道路を歩いている時に立ち止まるのも実は法律違反です。しかし現代社会でこの法律で逮捕される人はまず滅多にいないでしょう。

以前のコラムで述べましたが法律は解釈の余地が広く取れるように作られています。法律は人間の善意を前提に作られている上、ましてや法律の短い文言に対し、実際の現実では色々なケースが起こり得るためです。野球をしていた子どもが、弾みで隣の家の窓ガラスを割ってしまったのと、強盗目的の大人が人の家の窓ガラスを叩き割るのとでは罪の重さが全然違うのは当然のことです。この解釈の余地からグレーゾーンは生まれます。

債務整理で言えば、消費者金融は以下のような行為を禁じられています。

  1. 威圧的な態度を取ること
  2. 恫喝・脅迫的な言動を取ったり、大声で債務者を威圧すること
  3. 複数人で押しかけて借金の返済を迫ること
  4. 午後九時以降の遅い時間に取立を行うこと

これらはいわゆる「やってはいけない」ことです。しかし「やってはいけない」と法的に定められたと言うことは、法律が施行されるまで取立屋は当たり前のようにそれらを行なっていたことの裏付けでもあります。では法律が施行されたことで実際、これらは完全に行われなくなったと言えるでしょうか。

例えば1の「威圧的な態度を取ること」。直接的に凄んだりしなくても、珍妙な色のダブルのスーツでサングラスにオールバックの人間が取立に来た場合、これは威圧的な態度ではなくとも十分に威圧されると言えるのではないでしょうか。しかし、これを法律で立証することはなかなかに困難です。また、暴力的な言葉を直接述べなくとも、その言葉に暗に暴力を匂わせている場合はどうでしょう。

チンピラのような服装の取立屋から「借金を返さない人はどうなってるかわかってますか」と言われれば、債務者は様々な事柄を想像せざるを得ません。本来であればこれだって十二分に脅迫的な言動です。しかし仮に裁判にかけられたところで取立屋は「どうなるかわかりますか、と訊いただけだ」と言い張るでしょう。これなどもいわゆる「グレーゾーン」と言えてしまいます。

またもっとひどいパターンもあります。例えば消費者金融は債務者の会社などに取立・督促を行うことは禁じられています。しかし、取立屋が取立ではなく「顔見知り」として債務者の会社に「話をしにきた」場合はどうなるでしょう。きわどいパターンではありますが、これもグレーゾーンの範疇と言えてしまいます。

もしくは借金を返さない債務者の名前で「どこかの誰かが」債務者の勤め先に大量の出前やピザ・救急車を呼んだらどうなるでしょう。債務者としては、誰がやったか心当たりはあると思いますが、あまり表沙汰にはしたくないに違いありません。

このように「グレーゾーン」を法的に規制しても、それが今度は次のグレーゾーンを生み出しており、そうして消費者金融は相変わらずこのグレーゾーンに足を踏み入れて業務を続けています。

このような相手にきっちりと対処できるのは債務整理の専門家だけです。なぜなら債務整理を行う司法書士は、消費者金融の法律を指摘し、罰則を執行できる「力」を後ろ盾に持っているためです。借金問題でお悩みの場合、まずは専門家に相談することを強く推奨いたします。

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