債務整理コラム

ハゲタカの喧伝その2

前回のAさんに限らず、マスメディアに踊らされて借金の被害を被った人と言うのは山ほどいます。こちらも無料相談に訪れられた方の例です。

かつて娘の借金のためにその親御さんが相談に訪れられました。相談者の娘のBさんはまだ20代になったばかり。学生をしながら、ある芸能プロダクションに所属していました。芸能界と言うものは人気を出すための仕掛けもさることながら、意外に長い下積みが必要とのこと。そのため、Bさんは学生としてしっかり勉強もしながら、深夜のアイドル番組に出演したり、いわゆる地方のドサ回りをしながら少しずつ人気を獲得してきました。この結果、いよいよ本格的にデビューになる機会が訪れたようなのです。Bさんとしても当然期待に胸が高鳴ります。

ところがデビューの少し前、ふとBさんはこれからスポットライトを浴びるのだから、話題になる前に自分のコンプレックスを先に克服しておくべきだと思いたちました。あまり品の良い話題ではありませんが、水着写真を撮るようなグラビアアイドルなどはやはり胸が大きい方が人気が出ます。それとなく事務所からそのことをにおわせられたBさんは、借金をして自腹で豊胸手術を行いました。ところが、芸能界は水物の世界。元々華奢な体型に人気のあったBさんが無理に豊胸手術を行ったことで、ほんのつかの間のアイドル期間の後、彼女の人気は次第に下降してゆき、鳴かず飛ばずの状態を経て、ついに芸能事務所を解雇されてしまったのです。残るは手術を経た胸と借金ばかりと言う有様。そしてとうとうBさんは親御さんに泣きつき、この借金を埋め合わせてもらうと言う算段に至ったのです。

親御さんとしては借金は事務所のせいではないかと言う気持ちもあったようなのですが、残念ながら手術をしたのは本人の意思であると言えます。ともあれ、Bさんの金額は債務整理をせずとも月々返済してゆける金額ではあったようで、しばらく相談を受けた結果、親御さんから任意整理の委任は受けませんでした。

さて、AさんBさんともにマスメディアが原因で借金を抱え込んだ例です。しかし実はこのような話はメディアを少しでも知るものであれば枚挙に暇がありません。エンタテインメント性のあるマスメディアの本質と言うものは、いわゆるハゲタカ型ビジネスです。このビジネスの特徴はかなり無理のある「いいとこ取り」であると言うこと。駄作のホラー映画の玩具を希少性の高いものであると喧伝したり、華奢な体型に豊胸手術を用いてみたりなど、本物以上に本物らしく見せかけるメッキを多く用いたがります。この結果、一時的には爆発的な人気を生み出しますが、メッキがはげると同時に人気は即座にゼロに戻ります。本来であれば、AさんもBさんも余計なことをせず、自分の本質を貫けば、爆発的な人気は出なくとも、じわじわと長く商売を続けられたことでしょう。市場を寡占しない限り、本物は爆発的には人気を出さない。これは様々なビジネスの損益分岐点を計算していけば、自ずと分かることなのです。

しかし、それに気づかずに借金を抱えてしまったAさんやBさんをわたしたちは愚かだと笑い飛ばすことはできません。例えば一時的に射幸心を煽るパチンコや競馬・携帯課金のゲームなどはどうでしょうか。その幸福感は本物だと言えるでしょうか。春物の洋服や受験のための開運グッズはどうでしょう。一過性のものではないでしょうか。ネオン街での一時的な歓楽はどうでしょう。何よりも「人から借りたお金」と言うものはどうでしょう。 今や債務整理業界の中ですら偽物たちが跋扈(ばっこ)しています。いわゆる「整理屋」と呼ばれる不法な債務整理業者たちです。彼らには弁護士の資格も司法書士の資格もありません。彼らに債務整理を委任すれば、お金だけを取られてまんまと逃げられるか、さもなくばヤミ金とグルになってまったく意味のない借金の乗り換えをさせられるのがオチです。

お金を貸す世界にも、借りたお金を使う先にも、そしてその借金を整理する先にも偽物は存在し、声高に自分を喧伝しています。ですので、わたしたちは絶えずこの点をしっかりと踏まえて、まずは本物を見極められる自分を養うことが大切です。

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