債務整理コラム

借金から見た「72の法則」

貸金業法の改正によって上限利率が引き下げられた事は皆様の記憶にも新しいと思います。以前はグレーゾーンであった29.2%の金利が撤廃され、現状では上限金利は15〜20%。以前に借りた人にもこの金利の引き下げは適用されます。

上述によって過払い金の返還請求が可能となりましたが、しかし改正後のこの金利が安いかと言うとけしてそんなことはありません。

資産運用を考えている方にとって馴染み深い言葉に「72の法則」と呼ばれるものがあります。72の法則とは資産を増やしたいときに元本を2倍にするための年数と金利を求められる簡易な計算式です。この式は、

・ 金利(%)×年数(年)=72

にて表されます。例をとって計算してみましょう。

今現在手元に100万円のお金があったとして、1%の金利ならば何年間で倍になるか。 正解は 72(年)÷1(金利)=72年です。

単利であれば100年かかったところを72年で倍にする事ができます。 では、今度は金利10%でお金を預けたとしたらどうでしょう。7.2年ですね。

少しこちらの申し上げたい事が伝わったかと思います。 債務者の方にとって消費者金融などはお金を返す相手なのですが、消費者金融にとっての債務者は「お金を貸す相手」のみならず「しっかり増やしてくれる相手」なのです。

サラ金や商工ローンからお金を借りて返す期間は5年や7年はざら。中には10年・15年と言う単位で返し続けている人もいるわけです。

闇金もしくは多重債務などについて話を聞くとき、よく「雪だるま式に借金が増加」と言われますが、その感覚を実感すると言うのはなかなか難しいものです。

別の例えを引き合いに出すと平均的なサラリーマンの生涯所得が3億円と言われていました。現在では概ね1億5千万〜1億8千万円程度と言われています。

では、仮に100万円を消費者金融から借りて、現在の上限金利である20%を適応してみたとしましょう(実際に消費者金融から借りた場合、20%は適応されません)。これを一般的なサラリーマンの労働年数である40年の複利で宛ててみます。約15億円弱。これが答えです。金利15%でも約2億7千万円。とんでもない金額である事がお分かりでしょうか。

銀行に貯蓄した場合の利率である0.001%であれば40年かけても104万円です。この金利差と言うものをけしてあなどってはなりません。

もちろん消費者金融側としても貸し倒れの危険などがあるためにあまりにも低い利息で貸すことはできないのですし、当たり前の事ですが、一人の人から一生かけてこれだけの金額を引き出す事はできません。しかし消費者金融の視点からすれば、一人の人に貸して一ヶ月後に金利をつけて返してくれたのであれば、今度はその金額をまるまる別の人に貸すことでたちどころに元本を増やしてゆく事ができるのです。

金利の恐怖と言うものがお分かりでしょうか。貸し出す側にとってはまさに甘い汁のようなものであっても、借りる側にとってはたまったものではありません。

もちろん、金利が低いのであればそれに越したことはありませんが、それでも借金はおすすめできません。今の時代、アルバイトやパートの人はもちろん、一般的なサラリーマンですらなかなか給与が上がらないのが実情です。この給与の上がり具合よりも金利の方が高いのであれば年々債務者の資産を圧迫してゆきます。慢性的な風邪によって次第に具合が悪くなってゆくと考えてみるとわかりやすいでしょう。それも何も問題が起きないと仮定した場合でのお話です。急な倒産やリストラ、給与体系の見直し・結婚や出産などの人生の転機や冠婚葬祭における出費など、世の中には不如意な出来事が山ほどあり、そしてそれは誰しもの身にも降りかかります。それに引き換え、人任せ・会社任せの昇給などをあてにするというのはある意味で恐ろしいことだと言えるでしょう。

だからこそ、いざと言うときのために借金を控え、資産を少しでも増やしておく事が大切なのです。

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