債務整理コラム

借金問題とは「リアル」そのものである 1

借金は面白いものではありません。それは今、借金でお悩みの方はよくわかるはずです。

しかし、借金と聞いた途端に、何か他人が悩んだり、苦しんだり、やけっぱちになったりするような姿を想像して、興味津々になる輩も世の中にはたくさんいるのもまた事実です。

1 借金問題は『ナニワ金融道』ではない!

ナニワ金融道はサラ金を扱ったまんがの中では大きな人気を博した作品です。ドラマ化もされましたし、実際、エンタテインメントとしてはなかなかおもしろいものだと言えます。

しかし、現実の借金というのはそういうものではありません。また仮に、誰かに騙されて借金を負わされるなど、ナニワ金融道でよくある話のような状況の当事者になった場合、これはもう笑い事とはいえなくなってしまいます。

シン・イストワール法律事務所は借金の解決を専門にして20年以上の実績を誇る老舗法務事務所です。この長い期間で色々な借金問題を目の当たりにしてきました。

だから実際、ナニワ金融道のような話があるのかないのか、と問われれば、それは、ありますとお答えするでしょう。たとえば、借金を踏み倒して、風俗店で働き、さらにはホストクラブにはまりこんでその売掛金を踏み倒そうとしたあげく、やくざにつかまってヤミ金に借金をさせられたという女性もいます。

それはそれで他人事として聞けば、とても刺激的で面白い話でしょう。借金を踏み倒してコワモテにつかまってよりひどい目に遭うというのは興味深い話かもしれません。

実際、この女性もなかなかの肝っ玉の持ち主で、ヤミ金が「風俗店に売り飛ばす」とすごんだところで、そもそも何店舗も風俗店で勤めてきたのですから、まったく怯えなかったと平気で述べていました

しかし、世の中にはもっとひどい場所というのがあるのです。具体的には申し上げませんが、ヤミ金が最後に売り飛ばすような場所として、一円のお金も風俗嬢には渡さず、寝泊まりする場所と食事のみを提供するようなところも世の中には存在しています。

この方が人目を盗んで当所に連絡をしてきたのはそういう場所からです。それはそれでとても刺激的な話ではありますが、今回はそれについては割愛します。それはなぜかと言うと、そう言う人は確かに世の中にはちらほらいますが、あくまでも借金で悩んでいる方の主流ではないためです。

働いているけれど借金が嵩んできている。ついついパチンコで大負けしてしまった。まったく気づかなかったけれど、クレジットカードに信じられない額の請求が来ていた……etc。

こういう地味だけれど、債務者当人にとっては死活問題。こういう生々しい状況こそが借金問題の本質です。これらは他人から見て別に面白い話ではないのです。

2 ケバケバしいものは面白い。でも……

世の中の多くの人が刺激に飢えています。ピーキーなネタやゴシップはいつの時代でも、世相を賑わせる格好のこやしとなるものです。しかし、他人の事ならいざ知らず、今、借金問題で苦しんでいる人が、おもしろおかしい借金の話題に食いついても一つも良い事はありません

断言しますが、過激な話題やケバケバしいものというものはほぼ100%ウソです。たとえば今、このコラムをご覧になられている方が、そんなにご自身の借金が面白いものかと訊ねられたら、別にそんなことはないと思うはずです。

借金は面白いものではありません。むしろ地味であまり目立たないものです。本物は目立たない。自分の借金問題と照らしあわせながら、そこはよく考えてみるべきです。

だったら、借金問題は怖くないのか? そう問われると、答えは「とても恐ろしい」と言わざるを得ません。

これは病気が恐ろしいというのに近いものです。病気というものは、何もぱっと見が変わらなくても、たとえばある日突然血管が詰まって脳梗塞を起こしたり、心臓麻痺を起こしたりするものです。

借金の恐怖というのは同じように地味で、その苦痛は他人にはなかなかわかりません。他人の財布の中身があてにならないように、借金問題の苦痛というものも、本質的にはなかなか共有しがたいものなのです。

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