債務整理コラム

グレーな取立をするサラ金は実はまだまだ潜んでいる

平成18年の貸金業法の改正によって消費者金融業界は大打撃をこうむりました。それまでサラ金業者といえば、武富士に代表されるようなあこぎな取立を行う金貸しとして世間には認識されていましたが、法律の改正によって、ほんの少しでも威圧感のある態度を取るだけで免許が剥奪されてしまうようになったからです。

では、サラ金業者は軒並み潰れたかというと実はそうでもありません。サラ金業者というのは実は非常に流動的な仕組みになっています。とくに小口零細のサラ金は組織などあってないようなもの。

以前まで小口零細のサラ金は、やくざ組織のピラミッド構造のようになっていました。そのため、たとえある消費者金融が多少グレーな行動を取っても、同じグループの他のサラ金会社にメンバーが移ったり、名義だけ変えた新しい会社を立ち上げたりというのが日常茶飯事で生じていたのです。

過払い金の返還請求が始まる以前のサラ金会社というのは凄まじいもので、取立という点においては、今でいうところのヤミ金とそれほど大きな差はありませんでした。たとえばAという小規模ながらも現在も続いている老舗サラ金会社があります。

この会社は以前まではとにかくガラの悪いことで有名でした。取立の電話は昼夜を問わず延々とかけ続け、電話に出た後、まず怒鳴り散らします。返済できないと債務者が言おうものなら「今すぐ事務所に来い、コラ」とドスのきいた声で脅してくるのがお約束でした。

しかも、債務者が実際に事務所に行くと担当者は何もない床を顎で指して、まず「そこに座れ」と命じるのです。債務者が床に腰を下ろそうとした途端、担当者は大声で威嚇しつつ「誰が床に座れっていったんだ。そこの椅子に座れといってるんだ」と何もない床をもう一度示すのです。やがて債務者は何を言われているのか気づき、中腰になりながら、担当者と話をすることになります。担当者は債務者の周囲をグルグル回りながらいつまでもネチネチと「それで? いつ返すっていったっけ?」とゴネを続けます。やがて足が疲れきった債務者が立ち上がろうとすると、担当者は債務者の太ももを膝で蹴飛ばして「座ってろ、この野郎」と怒鳴るのを繰り返すのです。

これは一種の拷問です。Aはこの取立で、債務整理を扱う弁護士・司法書士の間では一時期とても有名なサラ金会社でした。このAという会社はまだ残っていますが、では彼らは今もうこのようなあこぎな取立をしていないかというと、それは明確にはお答えできません。

そう考えるとAそのものではなくとも、中腰で拷問を続ける取立の手口そのものはまだまだ世の中には健在だともいうことができます。

確かに貸金業法の改正によってあこぎなサラ金はその数を大幅に減らしました。しかしそのかわり、サラ金会社に勤めている社員個人がヤミ金だったり、元サラ金がヤミ金になったりすることで過去の悪質な取立の手口は完全に闇の中へと消えてしまったということもできるのです。

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