債務整理コラム

要注意 借金地獄に陥りやすい一つの制度

自分の借金ですら返済するのはとてもつらいものです。しかし世の中には、他人の借金の返済に追われる立場に置かれてしまう人も少なくありません。それはときに家族であり、ときにパートナーであることもあるでしょう。中にはまったく見も知らない他人の借金を負わされてしまうといったケースすらあります。

とくに多いものが連帯保証人として他人の借金を負わされてしまうというもの。気の置けない友人から「連帯保証人になって」と頼まれ、気軽に引き受けた結果、友人は蒸発、借金の肩代わりをさせられてしまったという話などは古今、枚挙にいとまがありません。

ところでこの「連帯保証」という制度。わかっているようでわかっていない人が多いのが世間では圧倒的多数のようです。この連帯保証とはどのようなものなのでしょうか。


そもそも連帯保証とは?

連帯保証は融資における保証制度の一つですが、債務者(借りる側)ではなく、債権者(貸す側)にとって非常に有利な仕組みとなっています。

連帯保証における大きな特徴は3つ。ここではその特徴についてご紹介します。


1 連帯保証は「催告の抗弁権」を持たない

連帯保証人は催告の抗弁権を持ちません。一般的に考えて山田さんが借金を負った場合、貸した側はまずは山田さんに対して取立を行うことでしょう。ものの道理としてもそれが当然のように思えますね。これが「催告の抗弁権」です。

しかし連帯保証という制度では、債権者は山田さんではなく、いきなり連帯保証の約束をした人に請求することができてしまいます。これは連帯保証人が「催告の抗弁権」を持たないためです。

2 連帯保証は「検索の抗弁権」を持たない

「催告の抗弁権」は請求の優先順位について述べるものでした。同様に連帯保証人は「検索の抗弁権」も持ちません。この「検索の抗弁権」とは、お金を借りた側の資力の状態を示します。

たとえば一般的に考えて、借金を作った山田さんに収入があったり、また不動産などの資産があったりする場合、債権者は連帯保証人ではなく、債務者である山田さんにまず取立を行うものと考えるでしょう。催告の抗弁権と同じです。だから保証人としては債権者に取立をされた場合、債権者に対して「山田さんは資産があるのですから、まずは山田さんに借金の請求をしてください」ということができます。しかし「検索の抗弁権」を持たない場合、山田さんにいくらの収入があろうが、不動産があろうが関係ありません。いきなり連帯保証人に請求をすることが可能なのです。これが「検索の抗弁権」です。

3 連帯保証人が複数いても、債務の総額は変わらない

連帯保証人という制度で一番誤解されやすいのがここです。一般の人は借金の保証人が複数いるのであれば、債務の総額をその保証人の頭数で割れば良いだろうと思いがちです。たとえば100万円の借金があり、保証人が10人いるのであれば、一人10万円ずつ返済をすれば借金は終わりと思いがちなのです。しかし連帯保証人は債務の総額が100万円であれば、債権者側は、連帯保証人の誰に対しても100万円のうちの好きな割合を連帯保証人に請求することができます。要するに「債権者は取りやすいところから借金を取れる」というわけです。


連帯保証になるのは相当の覚悟が必要

このように連帯保証というものは実に恐ろしい制度。しかし、実は多くの人があまり連帯保証の詳しい中身については知っていません。そのため、たとえば義理の家族や腹に一物ありそうな会社の上司から連帯保証について頼まれた際、連帯保証を引き受けるリスクと彼らとの今後の付き合いを秤にかけ、ついつい引き受けてしまうという事態になりがちな面があります。

しかし、繰り返しますが連帯保証は普通の保証制度ではありません。連帯保証とは要するに、債権者の視点からすると「色々あって、この債務者にお金を貸さなければいけない。でもどう考えても、この貸したお金は返ってこないだろう。だから代わりに返済してくれる人を用意してもらおう」という制度なのです。そしてこれひっくり返してみれば、連帯保証人になるとは、借金の肩代わりを引き受けたも同然と見なしてもある意味、差支えのない制度だともいえるほどなのです。

ですので、たとえば家族や刎頚の友であるならばまだしも、あまり親しみを感じないような間柄の人間から連帯保証を頼まれるということは、借金をなすりつけられる可能性も大いにあると思うべき。もちろん金額にもよりますが、こと連帯保証においては、人生において本当に信頼できる人とでなければ、義理を欠いても、断っても良いといえるかもしれません。


もし連帯保証人になってしまったら?

連帯保証でさらに恐ろしいのが、債権者からの了解を取らない限り、連帯保証を外れることは非常に難しいというところです。先に述べたように連帯保証は債権者からすれば「この債務者は信用できないから、いざというときに借金の肩代わりをしてくれる人を用意しておく」という意味があります。そのため、連帯保証人が債権者に対して「連帯保証を外して欲しいのですけど」というのは、実はとても難しい場合が多いのです。

このように恐ろしい制度である連帯保証。ついうっかりと連帯保証人になってしまったのであれば、まずは当所にご相談を。他の債務整理事務所において「これは無理です」と断られてしまうようなケースであっても、徹底した交渉力に自信のある当所だからこそ、このような極限の事態を、切り抜けられたケースも少なくありません。

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