債務整理コラム

「借金返済とルール」

借金の返済に関してお悩みの方の中には、現在返済中の方も多々おられます。以前当方のコラムでは返済中に失敗してしまうパターンについて記しました。自力で返済を始めたにも関わらず、途中でくじけてしまうのはとてももったいないものです。ことにそのような人の中には、債務者の収入が減ったと言うわけではなく、ある日にわかに放り投げ手しまう人が多く散見されます。せっかく少しずつでも長年返済を続け、ようやく元本の五割・六割まで減額できた人がその辺りでつまずいてしまい、にっちもさっちも行かなくなってしまうと言うのは、債務整理の専門家としても残念でなりません。

では、どうして五割・六割と言ったあたりまで頑張ったのに、そこで「ちょっとくらいなら散財してもいいかな」と気がゆるんでしまうのでしょうか。私は今その入り口を「気のゆるみ」と一言で表現しましたが、この辺りを敷衍すれば、最後までしっかりと自力返済できるプランも練る事は不可能ではないはずです。

借金をする場合、まずは返済プランを考えます。この返済プランの作成に関しては、例えばクレジットカードであれば自分で考えますし、銀行などから借り入れる場合では債権者と話し合って決める事が多いはずです。とくに前者を言い換えればこれは、自分で返済ルールを作成し、自分でそのルールを守ると言う事になるでしょう。後者にいたってもルールの遵守と言う点では同じです。しかし過去を振り返ってみてください。皆様も夏休みが始まる直前や転校・転職など、心機一転する節目が訪れた際にはしっかりとした生活プランを立てて見た事が必ずあるはずです。何時に起床。何時まで勉強。何時に就寝と言った具合です。しかしそのようなルールなどは三日も経てば忘れてしまったのではないでしょうか。実はルールと言うものは自分で立てるのはともかくも、自分でそれを遵守すると言う事は至難の業なのです。

一つ例え話をいたしましょう。金融系の中でも、末端社員の一人あたりが十億・百億と言う金額を預かり、その資産運用に向けて証券投資・投機を繰り返す、ヘッジファンドと言う職種があります。彼らは投資・投機における損失を手持ち資金の2%未満と厳命されています。2%とは要するに1万円が手持ちであれば借金は最大200円。100万円であれば最大2万円までと言う事です。月の手取りが20万円であれば、借金できる金額は4000円と考えるとわかりやすいかもしれません。居酒屋に入って一杯やれば、すぐになくなる金額ですから、いずれにせよ、割合として考えると厳しいものです。 そして、今後儲かる可能性が高かろうが低かろうが、投資資金のうち、この2%以上の損失を出した場合、上司の命令により、即座に資金の引き上げを命じられます。万一このルールを「すぐに儲けが出せるから」とわずかにでも破ってしまった場合、その社員には罰則として「コーヒーを購入するだけの仕事」が割り当てられます。これはつまり、一ヶ月間同僚たちの横に座って何の仕事も与えられず、ただ同僚が命じた「缶コーヒーを買ってこい」と言う言葉に従ってコーヒーを買うだけの業務となるのです。東大・京大を遥かに上回る「超」が付くほどのエリートが缶コーヒーを買うだけで、日がな一日何もさせてもらえないと言うのは大変な屈辱でしょう。もちろん、このルール破りを繰り返すと解雇となります。

このように世界経済を回している天才たちですら、借金に関する自己ルールを守る事は難しいのです。では、凡才である私たちが借金をする、もしくはその返済をする場合、一体どうすれば良いでしょうか。私は同じように人から強制してもらえるルールを作ってしまえば良いと思います。例えば給料日になったのであれば、収入の一割はまず貯蓄に、もう一割は借金の返済にあてる。もしそれが厳しいのであれば、毎月の返済額がほんの1円でも、もしくは返済期日が1日でも滞ってしまった場合、手持ちのタバコやお酒を全部知り合いにあげてしまう約束をする。または禁酒や禁煙を一週間強制される。これをしっかりと遵守できればルールは守れる・健康にも良い、お酒代やタバコ代も浮かせると言うわけで、あらゆる面で失敗しないかたちになるはずです。加えて同様に徹底した自制心を身につける事で、例えば遊興費などで借金を膨らませてしまった場合、生活や心構えそのものも少しずつ変わってゆく事でしょう。そもそも元本が半分近くまで目減りしたのであれば、返済額を生活費のギリギリで見積もる必要などはないのです。少しずつでも余裕を持ちつつ、同時に自制心をもって返済をしてゆく事を心がけましょう。

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