債務整理コラム

特定調停がもたらすデメリット

借金の返済が難しくなってきたとき、任意整理と特定調停のどちらを選択するか、迷う方も少なくないのではないでしょうか。ここでは、特定調停がどのようなものか、手続きの流れやデメリットなどについてご紹介していきます。

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特定調停とは

特定調停というのは、2000年2月からスタートした調停で、債務者が簡易裁判所に申し立てを行うものです。簡易裁判所は債務者と債権者の仲介役として、双方の話し合いを取り持ち、債務整理の案を作成していきます。特定調停では、債権者との調整や交渉については、調停委員が間に入ります。調停委員は債権者から取引履歴の開示をうけ、債務者・債権者との話し合いに基づいて借金の引き直しを行うこととなります。債権者の合意が得られた場合には調停調書が作成され、債務者はこれに基づいて返済する必要がありますから、返済が全く不可能になってしまっている場合には、特定調停を選ぶことは難しいと考えられます。

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特定調停の流れ

最特定調停の流れは、まず、債権者の住所を管轄している簡易裁判所に申し立てを行います。担当する簡易裁判所が分からない場合には、特定調停を希望している旨を裁判所に伝えて問い合わせると対応してもらえます。申し立ての際には源泉徴収票や確定申告書のほか、家計簿や借り入れの契約書などが必要となりますので、あらかじめ必要書類を確認しておくとよいでしょう。申し立てを受けた簡易裁判所は、債権者に通知書を送付して、これまでの取引履歴や契約書などを提示するよう求めます。この時点で債権者は取り立てを行うことが禁止されます。

続いて、簡易裁判所で調停委員が選定され、調査期日に債務者が呼び出されます。調査期日には、支払い能力や支援が受けられるかどうか、家計の状況などについて確認が行われ、利息制限法に基づいた返済計画案を作成していきます。さらに、調査期日から1か月程度経過したところで調停期日が設けられ、調停期日には、調停委員と債権者の間で返済に関する交渉を行います。双方で合意できれば調停調書を作成し、合意できなかった場合には、調停に代わる決定が下されることになります。債務者は調停調書や調停に代わる決定に基づいて返済を実行しなければなりません。なお、調停に代わる決定が出された後で、債権者により異議の申し立てを行われたときには、特定調停が成立しませんので注意が必要です。

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特定調停のデメリット

特定調停には、任意整理と比較するとデメリットがいくつかあります。

一つめは、債権者からの取り立てが止むまでに時間がかかるという点です。特定調停では、簡易裁判所から送付された通知書が債権者に届いたところで取り立てができなくなりますが、申し立てを行ってから取り立てがなくなるまでには、ある程度の時間が必要になります。厳しい取り立てでお悩みの場合には、期間が延びるのはつらいものです。

二つめは、調停調書には強制力があるという点です。調停証書どおりに返済が行われなかった場合には、債権者は裁判を行わなくても、強制執行により給与の差し押さえを行うことができます。そのため、返済計画案の作成にあたっては、返済が可能かどうか十分な吟味が必要になるといえるでしょう。

三つめは、特定調停を利用した場合、原則として返済期間が3年以内になるため、返済の負担が大きくなる点です。任意整理の場合には、力量の高い法律事務所ほど返済期間を長く設定することが可能です。法律事務所によっては、5年以上の長期にすることもできますので、返済の負担が大幅に緩和されます。

四つめは、特定調停を行っても合意できないことがあるということです。特定調停で合意が得られなかった場合、簡易裁判所は調停に代わる決定を下します。しかし、債権者が調停に代わる決定に納得できず異議を申し立てると、効力がなくなってしまいます。こうしたケースでは、再度、任意整理や個人再生、自己破産などの手段を検討しなくてはなりません。

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